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若者側に責任を押し付けたがる社会風潮(前編)

現在、第二期就職氷河期の真っ最中だ。
2010年度卒の大卒の就職率は、60.8%にまで落ち込んだ。
そして、2011年度卒の大卒の内定率(10月1日)は57.6%{*1}という低い水準だ。
これは超氷河期と呼ばれた2000年~2005年卒に迫る勢いである。

この問題に対して、就職氷河期の原因となる「新卒主義を止めろ」という声が上がっている{*2}かと思えば、逆に、「学生の自己責任」という主張も散見されだしている。
現在、垣間見れる自己責任論は以下の七つだ。

①求人倍率を根拠とした自己責任論
「求人倍率は一倍以上あるんだから就職難のはずがない。就活をサボったり、求人をえり好みしているのが原因」

②大手志向を根拠とした自己責任論
「学生は大手を狙うから就職できないだけ」

③供給過剰を根拠とした自己責任論
「バブル時代に比べ、大卒の数が50%も増えている。無能な大卒が増えた事が原因」

④学歴を根拠とした自己責任論
「就職難なのは低学歴だけ。良い大学に入らなかった事が原因」

⑤学力の低さを根拠とした自己責任論
「今のユトリ世代は、学力が低い為、採用試験に受からないのは当たり前」

⑥コミュ力を根拠とした自己責任論
「最近の学生はコミュ力がない。そんな奴は面接で落とされて当たり前」

⑦努力不足を根拠した自己責任論
「資格を取るなり、事前に努力しなかった学生側が悪い」

一見もっともらしい主張である。
これらの主張を肯定するデータも張られている為、真に受ける方も少なくはないだろう。
だが、これらの主張には大きな間違いがある。

例えば①は、募集人数=採用人数という絶対的な前提があってこそ、成立つ主張だ。
求人倍率は「求人数(募集人数)÷就職希望者数」で割り出す。ゆえに、数字の上では1倍以上あれば、就職口は人数分揃っている事になる。
しかし、私が前に『就職氷河期の心得』で説明したように、「募集人数=採用者数」ではない。

中途市場(職安)の求人倍率は、厚生労働省が一月ごとに算出するのに対し、
新卒市場の求人倍率は、リクルートワークス社が2月から3月に掛けて調査した、各企業の採用予定数が元になっている。
予定数を出してから、実際の募集から採用に至るまで数ヶ月掛かる為、ワークス社に提出された予定数は、その後の景気次第で増減する。
好景気の年ならば、人員確保の為に募集人数に+αを付け、場合によっては定員そのものを増やす為、現実は「募集定員数<採用者数」になる。(求人倍率が2倍でも、実情は2倍以上)
逆に不況の年は、企業は求人を出してる最中に経営が悪化すれば採用を中止し、あるいは希望の人材が得られない時は、採用基準を下げてまで定員を満たそうとしない為、「募集定員>採用者数」になる。(求人倍率が1倍でも、実情は1倍以下)

募集人数と採用人数の間に生じる誤差が、求人倍率1倍以上であっても需要過不足を引き起こすのだ。


さらに追加すると、理系の特定の学部出身者が氷河期に複数の内定を取り、求人倍率を跳ね上げている事も原因だ。
一例を挙げると、埼玉県内の2010年卒の10月1日の内定率は、大卒の場合、文系が28・1%、理系が32・0%。短大に至っては、文系18・7%に対し、理系は75・7%だ。{*3}

求人倍率が1倍以上保たれていても、“採用者を出さない企業の増加”“特定の学部出身者の内定独占”という二つの要因が新卒者を就職難に追いやる現象こそが、就職氷河期というものである。
(こんな事は、第一期・氷河期で苦労した人々に取材すれば容易に分かる事だ)

①の主張は全くのお門違いだ。
②の主張に対しては中編で述べるが、③~⑦の主張に対しては、次の一文で十分だろう。

「好景気の年は大手企業ですら、低学歴でも、低学力でも、コミュ力0でも、怠惰な学生でも、簡単に採用しとるだろうが!」


◆大手正社員の団塊世代の多数は高卒という事実

私は派遣で、多くの大手・中堅企業の中で働いた経験がある。その中で驚いたのは、大手・中堅企業の正社員の団塊世代の多くは、高卒だったという事実だ。
大卒が少数派だった頃、企業は高卒を積極的に採用していた。
彼らの中には、地方から集団上京し、会社説明を受けただけで入社試験を受けずに入ったなどという人もいた。

◆バブル時代は、大手企業が採用試験無しで大卒・高卒を採用している

私の知人に、県内最下位の商業高校卒がいる。
ある時、彼は趣味を何か持ちたいと言い出した為、私は山岡荘八の歴史文庫を勧めた。
しかし、彼は漢字が難しすぎて読めないといった為、今度は読みやすいライトノベルを貸してみたが、それすら読めない漢字が多いと嘆いた。
彼は国語力に限らず、暗算も苦手で、割り算は絶対に電卓を用いねば計算できない。
彼の同僚の話では、彼は女に手を出すのは早いが仕事は遅く、業務も中途で放り出す事が多く、従業員は迷惑しているという。
だが、そんな低学力・無能な彼が勤めている会社は、大手有名百貨店であり、彼の月収は(本人曰く)50万弱だ。
年功序列で順番が回ってきた為、一応ポストにもついている。
なぜ、低学歴・無学・無能・怠惰な彼が、大手に入って高給を得ているのか?
彼は1992年卒だからだ。この年は大卒は就職氷河期に入っていたが、高卒は売り手市場で求人倍率は何と3.08 倍だった。
(好景気の年はこれに+αが付く為、実質的には3.08倍以上になる)
彼は、落ちこぼれであった為、恩師から「就職先が見付かるまで卒業はさせない」といわれ、学校の斡旋で入社試験を受けずに大手に入っている。
バブル時代は、彼のような落ちこぼれですら、大手企業は試験を課さずに採用しているのである。{*4}
私は派遣時代、多くの大手勤務のバブル世代に出会ったが、彼らの過半数は何ら採用試験を受けていなかった。
「求人の応募出しただけで、返事と共に内定がきた」「企業から海外旅行の招待状が届き、ただで旅行に行ったら帰りに内定をくれた」
そんな話をどれほど聞いた事だろうか?

◆純ゆとり世代の2008年卒は売り手市場だったという事実

以下はWeb上から拾ってきた早見表
早見表


2006年卒から氷河期は解消し、2007年卒~2009年卒は好景気を迎えた。
この年の世代は、学力低下{*5}が問題視されるようになった世代の中でも、もっとも学力に難があるとされる“純ゆとり世代”だ。
大手志向も、理系男子に限れば60%{*6}を越え、バブル世代ほどではないがやや高くなっている。

ゆえに、上記の自己責任論を肯定するならば、この世代は“供給過剰”“学力低下”“大手志向”等の要因から好景気でも就職難に陥るはずである。
所がどうだ?
2008年卒の大卒の求人倍率は、2.14倍だ。(+αが付く為、実質2.14倍以上)
2007~2009年卒は高卒も売り手市場であり、日立製作所、東芝、キヤノンなどの大手企業は高卒の大量採用を行っている。{*7}
(この当時、私は大手企業で非正社員として働いていた。大卒の私が非正社員として働く中、高卒が正社員として大量入社してくる姿を目の当たりにしている)


◆呆れ果てた責任転嫁

好景気の年は、新卒者でさえあれば大企業ですら、“低学歴”“低学力”“コミュ力0”“無資格”“無努力”の人材でも(時期や企業によっては採用試験すら課さず)簡単に採用される状況を作っておきながら、
不況になった途端、就職難に陥った新卒に対して「低学歴だから」「コミュ力がないから」「学力が低いから」「努力が足りないから」などと言い出し、自己責任だと主張しているのだ。
ついこの前まで、低学歴・低学力・コミュ力0・無資格・無努力の人材を簡単に採用しておきながらだ。
そんなご都合論を並べられて、納得できる就活生がいかほどいようか!?
(ましてや就職難の2011年卒は、一、二回生の頃に、努力せずに大手の内定を採っている先輩たちや高卒たちの姿を見てきているのだ。なおさら納得できまい)
新卒主義を廃したがらない企業や経済学者たちは、実に二十年もの間、こんな矛盾した言動を繰り返し、若者側へ責任転嫁を続けてきたのである。

その時々の景気次第で、新卒者の運命が左右される新卒主義とは、言い換えれば、“好景気”と“大不況”の二種類の弾丸を詰めて遊ぶ、ロシアンルーレット式雇用制度だ。
企業は、こんな賭博のような雇用制度をしいて、今現在も新卒者たちを弄んでいるのである。


中編に続く


<注釈>

{*1}11月以降の内定率は参考にならない為、10月の内定率を掲載した。
内定率は「就職決定者数÷就職希望者数」という計算方法で割り出すが、11月を過ぎると、分母となる就職希望者が激減する為、内定率が一気に跳ね上がってしまい、就活生の現状が内定率からでは分からなくなってしまうからだ。
就職希望者数が減る原因は、11月を過ぎると、多くの企業は今期の新卒者の募集を取り止め、次年度の新卒者(現・三年生)の募集を開始する為だ。
ゆえに、内定の無い学生の多くは11月を過ぎると、大学院へ進学・就職浪人(フリーター)・公務員浪人・就職留年・非正規へ就職(パート・派遣)・人生を諦める(ニート)等の選択肢に切り替える為、就職希望者数が激減し、内定率が跳ね上がるのである。

{*2}「こんな就活もうイヤだ!!」就活くたばれデモ@札幌実行委員会blog

{*3}県内大学内定率29% 労働局が初調査 

{*4}バブル景気

{*5}学力低下

{*6}大学生の就職意識調査(10卒):マイコミ
 
{*7}2008年7月12日の日経新聞より




健やか総本舗亀山堂




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Re: No title

> 新卒主義を辞めたいと願うのなら、新卒の求人倍率や内定率や就職率ではなくて有効求人倍率を使った方がいいと思う。新卒でない人に職が行けばその分新卒の人の職がなくなるわけだから、新卒の求人倍率も内定率も就職率も下がるし。


取り合えず、あなたが就職率、内定率、有効求人倍率の意味を理解なさっていないという事は、よく分かりました。

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